本葛粉って?

食育講座コラム

いんやん倶楽部で使用している本葛粉について

葛根は大隈半島を中心とする鹿児島県、宮崎県で活躍する400人の「掘り子」という専門の方々が地中深くから掘り出してきます。工場には精製を待つ大小の葛根が山ほど積まれていました。訪れたときも次々とトラックで掘り子さんが葛根を持ち込まれていました。
年間1500トンも掘り出される30~50年経った葛の塊根は、長さ1メートル以上、直径20センチにもなり、樹木のように太く年輪までくっきりと浮かんでいました。さつま芋デンプンは30%もとれるのに、葛根からは10%しかデンプンはとれないとか。葛粉が高価なのもうなずけます。

マメ科蔓性多年草である「葛」は、秋の七草のひとつで、紅紫の花はとても愛らしいものです。根から蔓まで全てが有用であり、根は食用、漢方薬に、葉は家畜の飼料に、蔓は布の繊維にと無駄なく古代から日本人の生活にかかわってきました。可愛い花とは反して葛の繁殖力は強靭で、山野はもちろん放置された空き地でも木の上にからみ、太陽を求めて伸び樹木全体を覆いつくすほどの生命力を見せます。
葛の葉が茂り成長するのは夏場、冬になると葉を落として根が分からなくなるため、掘り子さんは夏の間に茎に印をつけておき、農閑期の12月~3月に掘り出すとのこと。また「堀り子」さんは毎年一つの山を掘ったら次の山と順番に掘り、1日120~160キロもの葛を掘り出します。
山に入るときには、塩・米・酒を山の神に捧げて収穫の豊かさを祈ります。根こぞぎ掘ることはせず、次の代を育てる根を残しておくのが約束事と伺いました。自然の恵みをいただく感謝の気持ちを大切にされた営みです。

精製された葛粉は昔から病人や子どもの滋養食として活躍し、私も風邪をひき発熱した場合には、くず湯にして蜂蜜を混ぜて甘くしたものを飲まされました。葛粉にはイソフラボノイド(ダイゼノン)と言う成分が多く含まれ、筋肉や血管の緊張をとり、炎症をやわらげ熱を下げる働きがあります。肩こりやストレスによるイライラや不眠などの症状を改善し、高血圧や狭心症予防にも良く、頭痛やけいれん、子どものひきつけや目、耳の炎症にも良いとされています。昔は家庭の手当て食として、特に穀物の乏しい山間地方では、米や麦の代用とされ、災害や飢饉の折の食用としての役立てていました。しかし近年は家庭ではじゃが芋デンプンに押され、貴重な本物の葛粉のよさが忘れられています。
じゃが芋、さつま芋、小麦よりもはるかに風味があり、きめの細かさに優れ、身体を冷やしません。涼感ある食味と良質の軟性を生かした葛きり、葛もちなどの和菓子。他の材料とも混ざりやすく、口あたりの良さ、こしも強さを使って、葛あんかけなど料理にも幅広く用いられています。
いんやん倶楽部の「手当て食」にも本葛は欠かすことができません。「台所に置ける常備薬」と言う葛の役割を伝え続ける安心な家族みんなで使える製品です。古代から日本人が大切にしてきた野性味あふれる自然の恵みをこれからも食卓に、手当てに生かしたいものです。

参考文献『葛記念館の本』株式会社廣八堂刊 1986年9月発行

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