梅﨑和子の食育講座 Vol.16〜

食育講座コラム
東日本大震災で亡くなられました皆様のご冥福をお祈りし、被災されました皆様に改めて心からお見舞い申し上げます。

三月十一日は東京教室中級科の修了持ち寄りパーティーの日でした。これから始まろうという時でした。4階の教室は突然グラーと大きく揺れ、建物はきしみ続け、皆、机の下にもぐりお互いに声をかけあい、長い(そう感じた)恐怖の時間が過ぎました。

電車は即、止まり、生徒さんもスタッフも帰宅はかないません。教室のある早稲田自然食品センターさんから寝具をお借りするなどの協力をいただき、一晩教室で過ごすことになりました。余震が続く中、互いに家族と連絡をとりあいました。落ち着くとそのまま恐れてばかりではと、早速、受講生の一人である『ホームベーカリーで白神こだま酵母パン』の本を出版された土屋利奈さんにパン講座を開いていただくことになりました。余震の続く中、部屋の中には焼けたパンの香ばしさがたちこめ、皆の気持ちを和らげてくれました。

早朝、積み重ねの味噌汁と炊きたてのパン、ご飯、納豆などの充実した朝食をいただき、前を向く勇気を胸に梅干むすびと共にそれぞれ家路についてもらいました。本当にお疲れ様でした。

帰阪しますと、食物アレルギーの方たちが食べられるものがなくて困っておられるとのこと。アレルギー対応の惣菜を届けたいとの依頼があり、微力ながら送らせていただきましたが、現地は野菜不足が深刻であるということでした。

東日本大震災から連鎖した福島第一原発からの放射能拡散の恐怖が続く中、四月には、政府は「レベル7」と深刻な事故と発表しました。

大地や水、海といった自然環境への汚染は「いのち」と直結した深刻な問題です。とりわけ子を持つ母親世代には不安が広がっております。

私は放射能の専門家ではありませんので、伝え聞いた話を語らせてもらうことしができませんが…。

私の夫は六十六年前、長崎にて被爆し、原爆手帳を持っております。その後、桜沢如一先生と出会い、食養を学び、二十代は桜沢如一先生の弟子として食養を実践していました。その当時の友人は六十~七十代で亡くなったようです。その後、子どもも三人もうけています。

私の実家の側には、原爆療養所があり、実家に帰りますと毎日のようにこの温泉に寄せてもらうのですが、悲惨な体験をお持ちの皆様も現在は力強く生きておいでです。私の恩師、小川法慶先生は長崎にお住まいでした。先生の口からはよく原爆症患者の治療にあたられていた、秋月辰一郎医師の話が出ました。先生は患者さんにわかめの味噌汁や玄米小豆粥を提供し続け、その結果、周囲の人たちを一人も亡くすことがなかったということでした。原爆を生き延びた人々の中には昔から体験的に伝えられた民間療法を取り入れた方が多くあったといいます。

私たちは先天的に親から受け継がれた遺伝子に刻み込まれたものと、後天的には生きている間に日々の生活環境の影響を常に受けて変化しながら心身を維持しています。中でも食物は太陽や土、水という環境の影響を直接的に受け、私たちの生命の糧となり、自然の力なくしては育ちません。

日本には幸い、先人から受け継いだ「百害百毒」を除くといわれる伝統的な発酵食品である、味噌、醤油、梅干等があり、玄米を始め、穀物が豊富で、旬の野菜には排泄力や抗酸化力、免疫力、酵素力をもち、何よりも元気を与えてくれます。それらを丸ごと生かした、『陰陽調和の積み重ね料理』はその力をパワーアップしてくれ、生命の再生をうながしてくれます。

こんな時こそ平常心をもって家庭における毎日の「食」を見直したいものです。

2011年発行 いんやん倶楽部通信より

clum_syokuiku_001

いんやん商品のご購入はこちら

ページトップへ