梅﨑和子の食育講座 Vol.17〜

食育講座コラム
私が「自然食」に興味を持ち、ライフワークとしてスタートした20代前半から40年が経とうとしています。その間、社会問題ともなった食品添加物や農薬、ダイオキシンなどの化学物質による汚染、そして、福島第一原発事故による放射能汚染と、私たちの食卓は絶えず脅かされ続け、相乗的悪化の一途を辿っています。現代人は豊かさや便利さと引き換えに、「負」の部分を背負わなければならない状況下にあります。しかしながら、連綿と繋がる生命の連鎖を断ち切ることはできません。

江戸時代より庶民文化の中で生まれた「生きる知恵」ともいえる養生文化には心身をいたわり、癒す力を育んできました。今こそ、この先人の知恵の再考が求められているように思います。私たちは「食べもの」として動植物の生命を糧とし、地球という大きな生命体の一つの「いきもの」として食物連鎖の中で生かされています。食べたら出す(消化・吸収・排泄)という一連の流れがあってこそ生命はからだを維持することができます。現代人は年齢を問わず、体内に水銀などの有害ミネラルを蓄積しているといわれます。有害物質による環境汚染と農薬などの化学物質の体内蓄積、ストレスや生活習慣の乱れなどにより、この排泄・解毒ができにくい時代といえるでしょう。農薬散布により、昆虫や土壌分解の役割を果たすバクテリアが激減し、必須のミネラルのバランスも崩れて解毒機能も低下しています。

このような環境の中で、健康を維持するには体内への「入出」の流れをよりスムーズにすることを心がけなくてはなりません。ちなみに、排泄の75%は便、20%は尿、3%が汗といわれています。若い女性は4人に1人が便秘で、薬局では便秘薬が一番の売り上げだとのこと。便秘解消はもっとも大切なことなのです。

福島第一原発事故後、放射能汚染による内部被ばくが問題となっていますが、放射性物質が食べものに付着して体内に入ってしまった場合でも消化吸収の段階で防ぎ、より早く排泄できることが大切です。それには日頃から胃腸を調えておかなければなりません。

食養は食べものとからだの関係を実践を通して観察し、結果を積み重ねてきました。いわば、壮大な人体実験の結果ともいえます。食べものと直接関係する消化管は口に始まり、肛門で終わる1本の筒のようなものです。小腸と大腸は食べものの消化吸収とともに、特殊な内分泌系や免疫系、さらに脳から独立した神経系が存在しています。よって、胃や腸に入った毒物はセンサー細胞が感知し、嘔吐や下痢を引き起こして体外に排出してくれます。「胃腸の弱りは万病をつくる」という言葉があるように、養生法の基本は「おかゆ」や葛湯、梅醤番茶など、胃腸を調える療法が大半を占めていることからもわかります。次回からは排毒・解毒効果のある伝統的な発酵食などを具体的に取り上げていきます。

2012年発行 いんやん倶楽部通信より

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