梅﨑和子の食育講座 Vol.19〜

食育講座コラム
この6月、ホロトロピック・ネットワークで催された仙台での講演会と大槌町のお地蔵さんを訪ねるというツアーに行ってきました。

岩手県大槌町は東日本大震災で1600人の死者・行方不明者を出し、被災事業所は9割という深刻な地域です。1年を経た今も住宅地の前にはコンクリートの土台のみを残して残っている民家は、1階部分の損傷にはげしい津波の跡が刻まれていました。

大槌町の48ヵ所の仮設住宅には、野口法蔵さんを中心に心の支援として51体のお地蔵さんが贈られ、津波で犠牲になった家族や友人を持つ人々の拠り所となっています。もとは同じだったお地蔵さんも被災者の方々の祈りとともにお地蔵さんの表情もさまざまに変化してやさしい笑顔を浮かべておられました。

福島原発事故から1年、放出された放射性物質の量はセシウム換算では広島原爆168個分ともいわれ、大地や海洋の汚染が深刻で健康への被害が危惧されています。福島や汚染の強い地域の人々の苦しみは計り知れません。少しでも放射能の害を防ぎ、免疫力を強めるには日々の家庭料理への気配りがいっそう求められます。

ヒトは生命体として常に身を置く環境から鼻を介して酸素を取り入れ、口からは食物を取り入れます。そして、腸から吸収された栄養分は太陽エネルギーなどの作用を得て、1日に1兆個の割合で細胞をつくり換え、約60日で全身の細胞は新しく再生されます。このとき、60兆個の細胞のひとつひとつの中で縁の下の力持ちとして働くのがミトコンドリアです。この新陳代謝力によって生命力の強弱が生じ、それが病気に克つ免疫力につながっています。ミトコンドリアに元気に働いてもらうには、外界から食物を取入れる窓口となっている腸内の環境を整えなくてはなりません。100兆個の腸内細菌が生きている腸は食物の消化・吸収、ビタミン類の合成はもちろん、近年、腸脳といわれるように、腸は進化の過程において脳より早く誕生しました。そして、脳の指令とは関係なく働いて外来異物を見分ける免疫機能を持ち、嘔吐や下痢を起こして素早く体外に排泄してくれます。デトックスの75%は腸管からです。よって、便通を整えることが最優先といえます。また、「幸せホルモンともいわれるドーパミンやセロトニンは95%が腸から生産されます。

このように多様な働きをもつ腸を整えるにはまず暴飲暴食をつつしみ、食物をよく噛み、冷たい飲食物で腸を冷やさないことです。消化酵素は体温36℃で働くので冷やすことにより、腸内細菌叢を悪くし、免疫力システムにもほころびが生じます。冷たいものの常食には日頃から注意し、砂糖類を含む嗜好品のとり過ぎをつつしみ、安全な食材を吟味して薬物(抗生物質)に頼り過ぎないことです。食卓が特別な食材ではなく、ごはん中心に旬の野菜たっぷりの重ね煮の味噌汁、糠漬けや納豆などの発酵食品、乾物やイモ類など食物繊維やファイトケミカルを含む旬の野菜や魚介を使った伝統的な食卓づくりが日本人の心身を健やかに保つ秘訣です。昔の人は体のしつけとして口と肛門を締め、姿勢を正しくし、下丹田には魂が宿るとしてきました。そして、子どもにも金太郎の腹巻をさせ、何よりもおなかを大切にしてきました。今さらながら先人の知恵には感服です。

2012年発行 いんやん倶楽部通信より

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