梅﨑和子の食育講座 Vol.21〜

食育講座コラム
いんやん倶楽部19号で紹介いたしました柳本クリニックでの1年にわたる治療も終わりました。柳本先生には口腔科医として「心身一如」を常に意識した「ホロン治療」から多くの気づきをいただきました。

ホロン治療とは、医療による適度な「治す力」を加えて、患者の「治る力」を向上させるもので、患者本人の養生も必要とし、その過程が患者本人の「気づき」を深めていきます。「気づく」ことは意識の向上につながり、生きる悦びが深いものとなります。

昨年、還暦をむかえて体力や気力の衰えを感じ、周辺も何かと大変なことも多いのですが、久し振りにワクワクした好気心が湧いてきたことをありがたく感じることができました。

「誤嚥性肺炎」で亡くなる高齢者が増えていると聞きます。「誤嚥」は飲み下した食物が食道に行かず、誤って気管に入って肺に落ち込むことです。体力も落ち、骨折で入院した夫が誤嚥性肺炎を起こしてしまい、食べやすいようにと病院ではトロミのついた流動食が出されました。しかし、口に入れると2、3回モグモグするだけで口中に溜め込み、飲み込むことができず「誤嚥」を起こします。

食事を飲み込むことができない状況なので医師からは「胃ろう」をすすめられましたが、入院するまでは普通食を食べ、食欲も旺盛で歯も臼歯がありますので私は納得がいかず、「胃ろう」をお断りし玄米クリームに粒を加えたものや魚のほぐしたもの、果物を食べさせました。すると、よく噛み、美味しそうに食べ、それをきっかけにして病院のトロミ食も全部食べることができるようになって退院することができました。歯がある場合は、食物の食感は口腔を通して五感を刺激して、脳にもよい影響をおよぼしたのではないかと思います。

ホロン治療では系統発生学によって「哺乳類の歯科治療」という位置づけがなされ、◎口腔(歯)は全身にとつながっている。◎口腔(歯)はまた心ともつながっている。◎口腔は生命の要である。口腔は内臓頭蓋の中心器官である ◎内臓頭蓋は鰓(えら)腸の一部である。したがって口腔はれっきとした腸であるとみなします。

人間は食物(栄養)を酸素で燃焼させ、ミトコンドリアを介してエネルギーを作り出します。そして、生命のうずを回して再生して生かされています。生きるための食欲と子孫を残すための性欲は、「種の存続」という生命のつながりを絶えさせないためにも大切な行いといえます。

歳をとると子どもに帰るといわれますが、わが家にはおっぱいと離乳食をいただく1歳過ぎの孫がいます。一方は、未成熟ゆえに柔らかく食べやすいような離乳食によって食べ方の基本を教え、一方は老化によって機能の衰えた身体をいたわる介護食です。両方をみていますと、生命のスタートと生命の終末において流れているのは家族を労わるという共通の行いがあり、養生食の原点がここにあります。

生命の要である口腔(歯)の大切さを実感するこの頃ですが、離乳食は子どもの成長という楽しみや喜びがあり、介護食には一抹の哀切さを感じるのは私だけでしょうか…。

2013年発行 いんやん倶楽部通信より

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