梅﨑和子の食育講座 Vol.10〜『一汁一飯のすすめ』

食育講座コラム

ヒトの身体は貯蔵する身体的能力を身につけてきました

地球上にヒトの祖先が誕生して七百万年が経過しています。約一万年前より農耕生活がスタートし、食べものの貯蔵や生産が始まったとはいえ、ヒトの進化の過程の99パーセントは狩猟採集の生活が占めており、飢餓と隣り合わせの状況で生きてきました。そのような厳しい自然界でヒトの身体は食べられるときはできるだけ食べ、貯蔵する身体的能力を身につけてきました。

人間のもつ欲望は、食欲、物質欲、名誉欲、性欲とさまざまですが、「生命」を支えるための「食」は不可欠であり、もっとも強く歯止めがききにくいものです。人類は経済的発展をなしとげると、必ず「飽食」の時代をつくり出し、ここ数十年の日本がまさにその状況です。

これは、ヒトの進化史において遭遇したことのないことであり、永い時間をかけて身につけてきた、体の「貯蔵システム」は、飽食の時代においては、肥満、糖尿病、メタボリック症候群などの増加につながり、健康をおびやかします。そして、ダイエットや断食療法が流行するという社会現象をつくっています。

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毎日の食卓の積み重ねが大事

「ごはん、味噌汁、香物」という組み合わせは簡単で、日本の伝統的家庭料理の集約された姿です。昔から「腹八分目は医者いらず」ということわざがあり、これは食養生の基本です。体験から会得してきた昔の人の言い伝えは奥深く、現代人にも学ぶべきことが多くありますし、年齢を重ねるごとに実感としてひびいてきます。私たち現代人には、先人たちのよりよく生きる知恵を家庭料理の中で再考し、実践することが求められています。

生まれてから死ぬまで、だれもが食べて生きています。食べることはただ成長のための栄養をとるだけではなく、風土、文化をも伝えていく大切な営みです。それは、毎日の食卓の積み重ねなしでは伝えられないもの。たかがご飯、されどご飯、毎日の食卓をていねいにつくり、ていねいに食べることが大事で、それが心にも体にもやさしい食事につながっているのです。

次世代を担う若者や、熟年の老夫婦など幅広い層に、日本古来の食事の基本である「一汁一飯」という食の基本を大切にしたいとの思いで、この程、『一汁一飯のすすめ』(家の光)を出版しました。毎日つづけることができ、料理の苦手な人にもとりくんでもらえるようつくられた1冊です。ぜひ手にとって日々の食卓に生かしていただけたら幸いです。

ご飯茶碗イラスト

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