News

2019.08.28

何をどのように食べればいいかということを再確認します

「食育基本法」が2005年7月に施行されてから、国もようやく「食」や「食生活」の大切さについて提唱するようになりました。
あちこちで「食育」への取り組みも活発に行われているようです。しかし、これらの動きを通して、「食育」ってなんだろう、今、本当に求められているのはどんなことなのだろう…、というような思いがふつふつと湧いてきます。

ヒトは長い進化の過程をたどって誕生しました。ヒトの誕生までには数十億年という月日を要したともいわれていますが、進化によってそれぞれの動物たちは、身体機能に基づいた食性を身につけてきました。ヒトを含めた霊長類は、基本的に雑食とされていて、私たちは、主食である穀類と豆類を中心とした伝統食を築いてきたのです。しかし、経済的に豊かになるにつれ、動物性たんぱくや脂肪、砂糖類を過剰に摂取するようになり、本来の食性が崩れてきました。これは、先進国には共通する現実で、多様な食文化、食べ物の過剰供給、食情報の氾濫など、今や歯止めがきかない状況です。

太古の昔から変っていない生理のしくみ

幸いにも女性たちは、妊娠・出産・授乳によって、壮大な自然の流れを体感する機会に恵まれています。太古の昔から、女性はしかるべき年齢に達すると、毎月生理が始まり、妊娠できるように子宮を整え排卵します。
それは女性がこの世に誕生したときからほとんど変っていない生理のしくみです。

いんやん料理教室では

いんやん倶楽部の料理教室には、妊娠・出産・育児の過程で問題を抱えた若いお母さんたちがたくさんやって来ます。食性の狂いは、生理不順や妊娠中の異常、難産、そして赤ちゃんのアレルギーの原因にもなっています。アトピー性皮膚炎の痒みのため、夜も眠ってくれない赤ちゃんを抱え、病院などあちこち回った末に、「食事」の大切さに気づいたお母さんたち。私は、彼女たちをまずは「お疲れさま」と労い、「一緒に頑張っていこうね」と励まします。料理教室では、ヒトとしての原点をたどり、何をどのように食べればよいかということを再確認します。そして、それを料理と結びつけて食生活に生かしていこうと実践を重ねてきました。

ごはん中心の食事

生き物としての視点を大切にすると、食や環境のあり方が見えてきます。進化に沿った食べ方、口腔にあった食べ方、胃腸の働きに合った食べ方を再確認することができるのです。そして、私が考える「食育」とは、このようなことを学び、伝えていくことではないかと思っています。

私たち日本人は、長い歴史の中で米を中心とした食事をしてきました。気候や湿度、肥沃な土壌にも恵まれた日本ではイネを栽培するのに適し、弥生時代以前から、日本人は穀物を中心とした食事をしてきました。今、しっかり食べられない子がとても多いのですが、もともと子どもたちはごはんが大好き。ごはん中心の食事に変えることで、しっかり食べられるようになり、子どもたちの心身も安定してくるはずです。

NEWS一覧へ